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公開シンポジウム 「シラバス作成を科学にする-日本語教育に役立つ多面的な語彙シラバスの作成-」

2016/2/24 たくさんのご来場ありがとうございました!

会場に、革手袋の忘れ物がございました。お心当たりの方は、会場の国立国語研究所までお尋ね下さい。

2016/2/20 予稿集をアップロードしました。下記リンクからダウンロードできます。
20150222_goi.pdf (3.51MB)

2014/12/15 要旨を加筆しました。

本プロジェクトの成果として、下記の通り公開シンポジウムを行います。

ぜひぜひ、お誘い合わせの上、ご参加下さい。

【日時・場所】

日時:平成27年2月22日(日), 10時~16時30分 (9時30分開場)

場所:国立国語研究所

(JR中央線立川より 多摩モノレールで1駅 高松駅下車徒歩7分) アクセスはこちら

【趣旨】

このシンポジウムではシラバス作成を「科学」にすることを目指します。構造シラバスに場面シラバス、話題シラバスなど、様々なシラバスに基づいて日本語教科書は作成されます。そのとき、提出される語彙の選択や順序は、どういった根拠に基づいているのでしょうか。本シンポジウムでは、新しい語彙シラバス構築の方法の提案と、データに基づいた対象者別の語彙シラバスの提案をおこないます。多面的・客観的にシラバスを眺めるという新たな挑戦です。これによって、理想の語彙シラバスの姿を見極め、同時に、シラバス作成を科学にするための方法を模索します。

【プログラム】

●講演

  • 10:00~12:00 「語彙シラバスと文章理解」   (石黒圭/一橋大学)
    文章理解は内容理解であり、内容理解を支えているのは語彙です。語彙は分野ごとに偏りが見られる一方、分野が重なると共通した語彙が用いられるため、分野の偏りや重なりを反映した語彙シラバスがあれば、文章理解教育が効率的になります。しかし、語彙シラバス自体はリストにすぎず、学習者が語彙の知識を文章理解に適用する方法を知らないと、語彙シラバスを文章理解教育に生かすのは困難です。本講演では、その方法を、①語形の把握、②意味の把握、③機能の把握、の三つの観点から論じます。

(12:00~13:00) 昼休憩

●パネル発表

  • 13:00~13:40 「語彙密度から見た語彙シラバス」 (佐野大樹/グーグル株式会社)
    語彙の”難易度”をどのように捉えるかは、語彙シラバスを作成するうえで重要な項目です。多くの場合、”難易度”は専門家の経験や語彙の頻度などにもとづいて捉えられますが、本講演ではテクストの書き言葉らしさ・話し言葉らしさをあらわす指標「語彙密度」を用いて捉えます。『現代日本語書き言葉均衡コーパス』を用いてある語が使用されるテキストの語彙密度の平均値を求めることで、語彙のどのような傾向が見えてくるか紹介していきます。
  • 13:40~14:20 「外国につながる子どもたちのための語彙シラバス」
    (中石ゆうこ/広島市立大学・建石始/神戸女学院大学)
    「外国につながる」児童・生徒は、学校教育の現場において教科の学習だけでなく日本語の学習も同時に必要であることが多く、教科の内容以外にもつまずきが起こりやすいと考えられます。そのつまずきへの対処方法の一つとして、現場の教師が指導の際に配慮すべき語彙の指針を示すために、外国人児童・生徒にとって指導が必要となる語彙リストの作成を我々は目指しています。今回の発表ではその基礎的な資料の一つとして、ある小学校に在籍する3年生児童の指導記録およびBCCWJの教科書コーパスを用いて、実際に指導が必要であった語とそれらの語に共通する特徴を明らかにします。

(14:20~14:40) 休憩

  • 14:40~15:20 「子どもを持つ外国人のための語彙シラバス」  (森篤嗣/帝塚山大学)
    本研究では、保育園と保護者の間で交わされる連絡帳、小学校における学校配布物という2種類のデータを分析します。この2種類のデータに対し、 BCCWJ を参照コーパスとして比較することにより、連絡帳と学校配布物の語彙の特徴を明らかにして、子どもを持つ外国人にとってどのような語彙シラバスが必要であるかについて、具体的な提案をおこないます。
  • 15:20~16:00 「日本語学習者から見た語彙シラバス」  (劉志偉/首都大学東京)
    外国人学習者、とりわけ中国語を母語とする日本語学習者にとってカタカナ語の学習が難しいということは、日本語教育関係者ならば誰しも が持っている漠然とした共通認識でしょう。本発表は、音韻論や音声学といった論理的な枠にとらわれず、発表者自らが記し続けてきた十数年分の学習メモを手 がかりに、上級以上の学習者でも「耳で聞いたカタカナ語は日本語母語話者のように再現できない」という現象に焦点を当て、その理由を探ります。
  • 16:00~16:30  全体ディスカッション

【資料など】

●以下は、本シンポジウム宣伝用のチラシです。配布は自由です。関心のある方は、各機関に掲示して頂けると嬉しいです。

20150222語彙シラバスシンポジウム(PDFファイル)

【関連情報】

前日、2月21日(土)には日本語教育講演会「語彙読解システムの開発―日本語教育における多読―」が開催されます。
ぜひ合わせてご参加ください。

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国立国語研究所日本語教育研究・情報センター主催 日本語教育講演会 「語彙読解システムの開発 ― 日本語教育における多読―」

国立国語研究所日本語教育研究・情報センター主催で
「語彙読解システムの開発 ― 日本語教育における多読―」
と題して講演会を行います。

詳細は下記の通りです。ぜひお越しください。

日時・場所

日時: 2015 年2 月21 日(土) 13:00~ 16:30 ( 開場12:30)
場所: 国立国語研究所 講堂

趣旨

英語教育においては、「めざせ100 万語! 」という標語とともに多読が完全に
定着し、一般の書店でも、いわゆる多読本やペーパーバックが置かれることが
多くなっている。このような英語教育における多読の成果を、日本語教育にも、
ぜひとも取り入れたいが、英語教育と日本語教育とでは、学習者数や学習者の
母語と目標言語との関係などが大きく異なっており、まったく同じシステムを
構築できるとは限らない。現在でも、英語教育と同じような方式の多読が、す
でに日本語教育に取り入れられてはいるが、それだけで十分である保証はない。
本講演会においては、日本語教育における望ましい読解活動のあり方を探り、
現在の英語教育の多読とは異なる「語彙読解システム」の構築を提案する。

プログラム

    • 基調講演「語彙読解システムの開発- 日本語教育における多読- 」
      山内博之( 実践女子大学)

 

  • 講演「語彙読解と日本語教育的単語解析」 岩田一成( 聖心女子大学)
  • 講演「語彙読解における読み物の話題」 橋本直幸( 福岡女子大学)
  • 講演「語彙読解における読み物の執筆」 栁田直美( 一橋大学)
  • 講演「語彙読解におけるビジュアルシャドーイング」中山誠一( 実践女子大学)

※ファイルなど

ちらしをダウンロードする(pdfファイル)

※関連情報

翌日2月22日(日)には国立国語研究所領域指定型共同研究プロジェクト
「学習者コーパスから見た習得難易度に基づく語彙・文法シラバスの開発」
主催による公開シンポジウム「シラバス作成を科学にする―日本語教育に役立つ多面的な語彙シラバスの作成―」を開催します。合わせてお越しください。

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第14回研究会 平成26年8月30日 (土) 13:00~18:00 於国立国語研究所

1.   開催期日

平成26年8月30日(土), 13時~18時

2.   開催場所

国立国語研究所

3.   発表者氏名・発表テーマ

建石始(神戸女学院大学 准教授):類義表現から見た文法シラバス」

本研究ではまず,類義表現を扱ったテキスト,参考書,文法解説書をもとに,初級文型に関する類義表現の一覧を示す。次に,それらのテキスト,参考書,文法 解説書において,当該の類義表現の解説にどのぐらいの文字数が使われているのかを算出する。最終的には,その文字数などを手がかりにして,類義表現から見 た初級の文法シラバスを提案したい。

 

森篤嗣(帝塚山大学 准教授):「子どもを持つ外国人のための語彙シラバスの提案に向けて

本研究では,保育園と保護者の間で交わされる連絡帳,小学校における学校配布物という2種類のデータを分析する。この2種類のデータに対し, BCCWJ を参照コーパスとして比較することにより,連絡帳と学校配布物の語彙の特徴を明らかにし,子どもを持つ外国人にとってどのような語彙シラバスが必要である かについて提案する。

松田真希子(金沢大学 准教授):「理工系語彙シラバスの構築に向けて

本研究では,理工系語彙シラバスの構築に向け,初級日本語教科書コーパスと理工系テキストコーパスのコロケーションの重なりを明らかにすると共に,今後理 工系日本語学習者が日本語を習得するための語彙シラバスの構築にあたり,どのような指標が,どのような語彙シラバスの構築に有効なのかについて検討を行 う。

太田陽子(相模女子大学 准教授):「様子・予想・傾向を表す表現のコンテクストとコロケーション―例文づくりに役立つ文法記述のための基礎研究

本研究では,現行の中・上級レベルで扱われる,様子・予想・傾向を表す類義的な表現を取り上げ,主に BCCWJ を用いて,それぞれが「どんな場面・文体・ジャンル」において,「どのような語とともに」用いられるのかといった観点からの分析を試みる。従来の「基本的 意味」の比較とは異なる類義語分析を行うことにより,学習者の産出 / 理解を助け,教師の教室活動の参考となる文法記述のために必要な情報について検討していきたい。

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第13回研究会 平成26年6月28日 (土) 13:00~18:00 於国立国語研究所

1.   開催期日

平成26年6月28日(土), 13時~18時

2.   開催場所

国立国語研究所

3.   発表者氏名・発表テーマ

渡部倫子(広島大学 准教授):日本語母語話者の主観判定による初級文法項目の必要度 ―教師経験の有無による相違―」

本研究は,日本語母語話者の主観判定 (直観) によって,初級教科書から抽出した文法項目の必要度を明らかにすることを目的とする。また,主観判定に影響を与える要因のうち,教師経験の有無に焦点を当て,初級文法項目の必要度と生産性の関係について検討する。

 

佐野大樹(NICTユニバーサルコミュニケーション研究所 研究員):「語彙密度から見た語彙シラバス構築に向けて

選択体系機能言語理論 (システミック理論) では,テクストの書き言葉らしさ・話し言葉らしさを示す指標のひとつとしてLexical Density (語彙密度) という概念を用いる。語彙密度は,テクスト中の内容語 (lexical item) の数を節 (clause) の数で除算した値で,一つの節にどの程度の情報が詰め込まれているか (information packing) その程度をあらわすものである。一般的に,語彙密度が高いものほど書き言葉らしく (情報の詰め込みが多く) ,低いものほど話し言葉らしい (文法的には複雑な) テクストとなる傾向がある。本発表では,まず『現代日本語書き言葉均衡コーパス』 (BCCWJ) 中のテクストの語彙密度を求め,次に,ある語彙が使用されるテクストの語彙密度の平均値と分散を計測することで,そこから語彙のどのような特徴が見出せる か紹介する。

田中祐輔(東洋大学 専任講師):「既存教科書から見た語彙シラバス

本研究は,既存教科書の視座から語彙シラバスの過去と現在を明らかにし,今後の在り方についての議論に必要不可欠なこれまでの歩みに関する基礎的資料を提 示するものである。そのために,戦後日本語教育の準全数調査を用いて,主要初級日本語教科書が,いかなる「語彙」を,どのような形で取り扱ってきたのかに ついて明らかにする。

橋本直幸(福岡女子大学 専任講師):「話題別語彙シラバス作成のための基礎研究 ―「話題」の定義について―

『実践日本語教育スタンダード』 (山内 (編) 2014) では,言語活動と言語素材を結びつけるために,100種類の話題を設定し,コーパスから抽出した特徴語を中心とした話題別の語彙・構文リストを作成した。 本発表では,話題に基づく語彙シラバスの研究をすすめるための軸となる「話題」という概念について,これまでの先行研究で扱われた「話題」の概念や具体例 を概観するとともに,客観的な「話題」の定義づけを試みる。

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第12回研究会 平成26年4月19日 (土) 13:00~18:00 於国立国語研究所

1.   開催期日

平成26年4月19日(土), 13時~18時

2.   開催場所

国立国語研究所

3.   発表者氏名・発表テーマ

建石始(神戸女学院大学 准教授):「類義表現から見た文法シラバス」

本発表ではまず,類義表現を扱ったテキスト,参考書,文法解説書をもとに,初級文型に関する類義表現の一覧を示す。次に,コーパスなどを使って,それらの 類義表現の違いや特徴を見つけ出し,どのような場面・状況で,どの表現を使えばよいのかを分析する。以上の作業を通して,最終的には,類義表現から見た初 級の文法シラバスを提案したい。

 

松下達彦(東京大学 特任准教授):「効率的な語彙学習順序とは? ―コーパスに基づくアプローチ―

本研究では「現代日本語書き言葉均衡コーパス」2009年モニター版 (書籍等,約3300万語) に基づいて学術共通語彙,限定学術領域語彙,文芸語彙の3種類の領域特徴語を抽出した。これらの語群の学習によって期待される学習効率を検証するため, 「テキストカバー効率Text Covering Efficiency」 (TCE=ある語群中の1単語を学習した場合に,単位テキスト長あたりに期待されるテキストカバー率) という指標を提案する。目標テキスト領域におけるTCEの数値は,その領域においてどのような語群が最も効率的にテキストをカバーするかを示し,その数値 の高い順に語彙学習順序を決めれば最も効率的にテキストカバー率を上げられる。この指標により,テキストジャンルによって効率的な語彙学習順序がどう異な るかを明らかにする。。

橋本直幸(福岡女子大学 専任講師):「学習者の言語活動に基づいたコーパスの構築
―『日本語教育のためのタスク別書き言葉コーパス』の紹介

大学生の日常における「書く」という言語活動に注目し,日本人大学生 (30名) と留学生 (韓国語母語話者30名,中国語母語話者30名) による書き言葉の資料,計1080編を集めた『日本語教育のためのタスク別書き言葉コーパス』 (略称:「YNU書き言葉コーパス」) を紹介する。このコーパスは,従来のいわゆる「作文」の集積ではなく,各被験者にタイプの異なる12の書き言葉タスクを課し,客観的な評価基準に基づき各 タスクの達成の可否を判定した評価付きのデータである。さらに,12のタスクの達成度により,学習者を上位群・中位群・下位群の3グループに分けている点 も大きな特徴である。

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第11回研究会 平成26年3月8日(土) 於 チュラロンコーン大学

1.   開催期日

 平成26年3月8日(土), 9時~13時

2.   開催場所

チュラロンコーン大学

3. プログラム

口頭発表A

  • 9:00-9:30 「談話を補文化する名詞の習得―実質語の用法から機能語の用法への転換―」
    澤田浩子(筑波大学)
  • 9:40-10:10 「意味判別における文法記述の効果の計量化―ナガラ節の意味判別を例として―」
    森篤嗣(帝塚山大学)

ポスター発表A (10:20-11:00)

  • ①「世界各地の日本語学習者の文法学習と語彙学習についてのビリーフ―ノンネイティブ教師と比較して―」
    阿部新(名古屋外国語大学)
  • ②「文法項目と実質語のコロケーション―文法コロケーションハンドブックがもたらすもの―」
    中俣尚己(京都教育大学)
  • ③「議論の場における学習者の前置き表現使用にする考察―母語別の使用実態の分析から―」
    柳田直美(一橋大学)
  • ④「初級文法項目に対する日本語教師のビリーフ」
    渡部倫子(広島大学)

口頭発表B

  • 11:00-11:30「日本語学習経験者から見た語彙シラバス―超級を目指すために―」
    劉志偉(首都大学東京)

ポスター発表B(11:40-12:30)

  • ⑤「口頭発表における文末表現―論文における表現との比較から―」
    居關友里子(筑波大学大学院生)
  • ⑥「コミュニケーションのための終助詞「もの」の用法―日本語母語話者の使用実態から―」
    松下光宏(大阪府立大学大学院生)
  • ⑦「日本語の雑談会話における話題のつながりと境界づけ―母語話者と非母語話者の話題転換はどこが異なるのか―」
    花村博司(大阪府立大学大学院生)
  • ⑧「日本語上級学習者における同音異義語の意味検索過程」
    徐芳芳(広島大学大学院生)
  • ⑨「シャドーイングにおける準備活動が遂行成績に及ぼす影響」
    韓暁(広島大学大学院生)

4.発表要旨

「談話を補文化する名詞の習得―実質語の用法から機能語の用法への転換―」 澤田 浩子 (筑波大学 講師)

学習者コーパスを用 い,「かたち」「感じ」などの内容補充をとる名詞の使用に着目し,長い談話を補文化する用法の習得がどの段階から可能になっているのか 観察する。その上で,中級から上級・超級へのステップアップにとって,実質語として習得した名詞を機能語へと転換すること,あるいは長い談話を適切に補文 化できることが重要であることを示す。

「意味判別における文法記述の効果の計量化―ナガラ節の意味判別を例として―」 森 篤嗣 (帝塚山大学 准教授)

本発表では,自然言語処理のような応用分野を考慮したケーススタディとしてBCCWJから抽出したナガラ節を人手で意味解釈し,文法研究によって蓄積された規則がどの程度,ナガラ節の意味解釈「付帯状況」と「逆接」という二種類の言語使用の予測に寄与するかを検証する。

「日本語学習経験者から見た語彙シラバス―超級を目指すために―」 劉 志偉 (首都大学東京 助教)

本発表は,日本語学習経験者の視点から,超級を目指すまたは超級以上の日本語学習者を対象とした語彙シラバスについて考案したものである。具体的には日本 国内における日本語教育に限定し,自然習得を除いたネイティブ指導の手助けを要する語彙指導を中心に述べる。発表全体は「母語の違いに応じた語彙指導―中 国語を例に―」と「全ての日本語学習者を対象とした語彙指導」との二つに大きく分けられる。前者についてはさらに「母語(中国語)の影響を考慮に入れたも の」と「母国(中国)の文化の影響を考慮に入れたもの」とに分けて詳述する。そして,後者については「通時的な視点(日本語学の見知)を取り入れた語彙指 導」と「若者言葉を反映した語彙指導」との二つの立場から検討する。

「シャドーイングにおける準備活動が遂行成績に与える影響」韓 暁 (広島大学 大学院生)

シャドーイングは学習者にとって困難な課題であるため,学習過程に導入する際,「聴解」や「音読」などを前活動として用いる場合が多い。本発表はシャドー イングの前活動である「聴解」と「音読」がシャドーイングの遂行成績に与える影響を解明することを研究目的とし,効果的なシャドーイングの導入方法を再検 討する。

「日本語上級学習者における同音異義語の意味検索過程」徐 芳芳 (広島大学 大学院生)

本研究は,中国語を母語とする日本語上級学習者における同音異義語の意味の検索過程を明らかにすることを目的とする。そのため,単独呈示された同音異義語に関する質問紙調査を実施し,意味の想起基準表の作成を試みた。

「日本語の雑談会話における話題のつながりと境界づけ―母語話者と非母語話者の話題転換はどこが異なるのか―」花村 博司 (大阪府立大学 大学院生)

この発表では,日本語の雑談会話における母語話者と非母語話者の話題転換の特徴を,以下の2つの観点からあきらかにする。

(1) ひとつひとつの発話の内容がどのようにつながるか
(2) 内容が直接つながらない発話と発話の境界づけにどのような表現が用いられるか

さらに,母語話者の話題転換においては,(1)のつながりかたによって分類される型ごとに,(2)の表現の使用にも傾向があることを示す。

「コミュニケーションのための終助詞「もの」の用法―日本語母語話者の使用実態から―」松下 光宏 (大阪府立大学 大学院生)

終助詞「もの」の意味・用法は,先行研究や日本語教育において,「理由説明」,特に,相手との対立がある「言い訳」などで用いるとされ,使用者は主に若い 女性や子供と説明されることが多い。本発表では,日本語母語話者の自然会話を分析し,この説明が母語話者の使用実態を反映していないことを示すと同時に, 日本語教育においても実際のコミュニケーションでより有用だと思われる用法での指導を提案する。

「世界各地の日本語学習者の文法学習と語彙学習についてのビリーフ―ノンネイティブ教師と比較して―」阿部 新 (名古屋外国語大学 准教授)

これまで日本語教育の分野では,世界各地の学習者の言語学習や日本語学習に対するビリーフが調査,分析されてきた。しかし,それらは各地域について単発で 分析されることが多く,結果が必ずしも有効に分析されていない状況が見られた。そこで,本研究では特に学習者の文法学習と語彙学習に対するビリーフについ て,世界各地の学習者のビリーフの先行研究結果を取り出して比較し,地域的特徴の有無などを分析考察し,文法学習・語彙学習のシラバス・教材の有効利用 資するデータの提供を試みたい。

「口頭発表における文末表現―論文における表現との比較から―」居關 友里子 (筑波大学 大学院生)

学術的内容を扱った口頭発表を行うに際し,発表者にはどのような口頭表現が必要とされるのかについて,論文における文末表現と口頭発表における文末表現の 比較からこれを考察する。ここから,日本語学習者が発表以前に用意している言語資源である予稿集や発表レジュメにおける表現が,どの程度利用可能なのか, またどのような表現が追加で必要となるのかについて検討する。

「文法項目と実質語のコロケーション―文法コロケーションハンドブックがもたらすもの―」中俣 尚己 (京都教育大学 講師)

本発表では,コーパスを使って,文法項目の前接語にどんなものが多いかに注目することで,教育に役立つ知見が得られることを主張する。具体的には状態の 「てある」,現在進行の「ているところだ」,伝聞の「そうだ」をケース・スタディーとして取り上げ,これまで明らかになっていなかった「よく使う場面・用 法」を明らかにする。

「議論の場における学習者の前置き表現使用に関する考察―母語別の使用実態の分析から―」柳田 直美 (一橋大学 講師)

議論の場では,時として意見の対立が顕在化する。そのため,「反論」という行為は,他の言語行為に比べ,相手に不快感を与える可能性が高いともいえるもの である。本研究では,議論の場において,反論によって生じる相手の不快感を緩和するために使用される前置き表現について,上級学習者の教室活動における使 用実態を母語別に分析し,教示方法について検討する。

「初級文法項目に対する日本語教師のビリーフ」 渡部 倫子 (広島大学 准教授)

本研究は,日本語教師に対するビリーフ調査によって,初級文法項目の必要度を明らかにすることを目的とする。また,日本語教師のビリーフに影響を与える要 因として「これまでに使用した初級教科書」を取り上げ,両者の関係についても検討する。また,日本語教師の主観判定に影響を与える要因についても探索的に 調査する。

詳しいプログラムを見る(PDF) GobunkenPoster

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公開シンポジウム 「シラバス作成を科学にする-日本語教育に役立つ多面的な文法シラバスの作成-」

大勢のご来場、誠にありがとうございました。

公開シンポジウム 「シラバス作成を科学にする-日本語教育に役立つ多面的な文法シラバスの作成-」はおかげ様で150名以上の参加者があり、盛会のうちに終了いたしました。
今後はさらに研究と考察を進め、2014年度中に論文集の公刊を目指します。

予稿集をアップロードしました。下記リンクからどうぞ。(PDF形式:9.32MB)
(2014年2月26日、タイムテーブルを当日の進行に合わせて修正)
公開シンポジウム「シラバス作成を科学にする-日本語教育に役立つ多面的な文法シラバスの作成-」予稿集


本プロジェクトの成果として、下記の通り公開シンポジウムを行います。
入場無料・申し込み不要(定員300名)です。

ぜひぜひ、お誘い合わせの上、ご参加下さい。

【日時・場所】

日時:平成26年2月22日(土), 13時~16時30分

場所:一橋大学 国立東キャンパス 東2号館 2301教室

(国立駅南徒歩7分) アクセスはこちら

【趣旨】

山内がOPIデータから導き出した初級文法シラバス(山内2009)と庵が理論的に導き出した初級文法シラバス(庵2009、2011)は、概ね一致していた。この一致は偶然なのか必然なのか。それを知るために、さらに別の角度から複数の文法シラバスを作成し、それらの共通点・相違点を探求したい。このように多面的・客観的にシラバスを眺めることによって、理想の文法シラバスの姿を見極め、同時に、シラバス作成を科学にしていきたい。

【プログラム】

  • 基調講演Ⅰ「文法シラバスの作成を科学する」庵功雄
  • ①「口頭表現出現率から見た文法シラバス」岩田一成
  • ②「生産性から見た文法シラバス」中俣尚己
  • ③「日本語能力試験から見た文法シラバス」森篤嗣
  • ④「既存テキストから見た文法シラバス」田中祐輔
  • 基調講演Ⅱ「文法シラバスの現場への導入を科学する」山内博之

【発表要旨】

●基調講演I

庵功雄(一橋大学 教授):「文法シラバスの作成を科学する」

本講演では,「日本語で産出するために最低限必要な文法項目」のみを扱うものを「初級」と考え,日本語学的な観点にもとづく新しい初級シラバスを提案します。それと同時に,なぜ今「文法シラバス」の見直しが必要なのかという点を,「学校型日本語教育」に絞って述べたいと思います。

●パネル発表

岩田一成(広島市立大学 准教授):「口頭表現出現率から見た文法シラバス」

教室で授業を行っている方は,「これは話し言葉(or書き言葉)ですよ~」ってセリフ,たまに言いませんか?学習者にとっては当該の項目が話し言葉なのか書き言葉なのかは重要な情報です。ところが,何が話し言葉で何が書き言葉なのかっていうのはグレーゾーンもあり,微妙な問題です。本発表ではコーパスにおける出現数を基に,「〇〇は話し言葉である」と指導する際の根拠を示したいと思います。

中俣尚己(京都教育大学 講師):「生産性から見た文法シラバス」

授業で教えている文法項目の中には「ている」のように色々な場面で使われるようなものもあれば,「てある」のようにごく限られた動詞としか接続しないものもあります。この「どのぐらい色々な種類の動詞と接続するか」「どのぐらい色々な場面で使われるか」という尺度を「生産性」と呼び,それをコーパスのデータから客観的に計算する手法を提案します。そして,この「生産性」こそが学習者にとっての習得難易度と密接に関わっていることを示します。

森篤嗣(帝塚山大学 准教授):「日本語能力試験から見た文法シラバス」

日本語能力試験の旧試験には『分析評価に関する報告書』として,27年間分という膨大な蓄積があります。本発表ではこのうち,2005 年度~2009年度の5年度分を項目分析の対象として,「文法」だけでなく,「聴解」「読解」についても,「正答するためにキーとなる文法項目」を抽出した上で,正答率と識別力を中心として分析します。これに基づいて,当該級の受験者の解答傾向を踏まえ,難易度を考慮した段階的な文法シラバスを提案します。

田中祐輔(東洋大学 講師):「既存テキストから見た文法シラバス」

本研究は,既存テキストの視座から文法シラバスの過去と現在を明らかにし,今後の在り方についての議論に必要不可欠なこれまでの歩みに関する基礎的資料を提示するものです。そのために,戦後日本語教育において,主要初級日本語教科書が,いかなる「文法」を扱ってきたのかについて分析します。

●基調講演II

山内博之(実践女子大学 教授):「文法シラバスの現場への導入を科学する」

文法シラバスは日本語教育の背骨にあたるものであり,これがなければ日本語教育は成立しません。しかし,文法シラバスそのものを現場で示すことは望ましいことではないし,得策でもありません。本講演では,話題の難易度づけを行ない,文法シラバスを話題でコーティングして現場へ送り出す方法を紹介します。ま た,語彙(実質語)の中にも文法(機能語)と似た性質を持つ語群があることを指摘して,そのシラバスについて述べ,文法シラバスをよりスムーズに現場に導 入できる道筋を示します。

【資料など】

●以下は、本シンポジウム宣伝用のチラシです。配布は自由です。関心のある方は、各機関に掲示して頂けると嬉しいです。

公開シンポジウムフライヤー(PDFファイル)

公開シンポジウム詳細(PDFファイル・この記事とほぼ同じものです。)